ファクシミリで手紙をくれた建築に興味のある高校生さんへ


手紙をくれて、ありがとう。

洋風な家が増えて、残念。私の団地も年々、日本の家が減っていることを嫌に思う。日本にしかない、日本の家をたくさん建てて下さい。とのこと。

その手紙の中に、畳や瓦を使った「和空間」という言葉がありました。

ぼくの仕事は、まさに空間を造ることです。あなたは、手紙の中で「空間」という言葉を、ぱっと使われていますね。空間を造ることは、実はたいへん難しいことなのです。なにしろ、その空間の中で、人が生活をするわけですから。空間って、すごいのですよ。

例えば今、平和台で建築中の家も、外観こそ斬新ではありますが、そのコンセプトは、和に通じる部分があるのです。エントランスホールを抜けると、ガラス張りの3層吹抜けのギャラリー兼アトリウムに入ります。この空間は、居住スペースと外部の中間領域にあり、それは、日本古来の縁側のような空間なのです。そこには、絵を掛けたり、クライアントが大好きな盆栽を飾ることでしょう。そして、居住スペ―スを囲う内側の壁は、木質素材のシートが全面に張られ、そのテイストはまさに「和空間」なのです。

この建物は、来月完成予定で、クライアントの許しが出れば、一般に公開する予定です。日程が決まれば、このホームページにアップしますので、どうぞ見に来てください。できれば、その時、そっと「あの手紙を書いたのは私です。」と、打ち明けてほしいな。ひとことお礼が言いたくて。どうか、建築に興味があるあなた、いつかあなたも建築に関する仕事について、素敵な家をたくさん造ってください。

これから先、ぼくがどれだけ家を造ることができるか分からないけど、あなたの貴重な意見が思考の一部で、何かの形で表現できるのではないかと思っています。

きっと、勇気を振り絞ってファクシミリを送ってくれたあなたに、感謝します。

飯田修平  2007.6.25