オープンカフェ〜中国新聞広場欄 1999.9.24付

 ゴールデンレトリバーが、テーブル席に腰を掛けた主人の足元で、「伏せ」の姿勢で静かにたたずんでいる。枝を伸ばした大きなケヤキが緩衝になっているのか、街のけん騒はさほど気にならない。

 同伴のご婦人と散歩途中、ひと休みといったところであろうか。たばこをふかしながらビールなどをにこやかに飲んでいた。すっかり市民に定着した感のある広島市の平和大通り沿いの、オープンカフェでのひとこまである。

 さて、このオープンカフェ、聞くところによると混雑を避けた時間帯に限り、このように犬などを連れた人も、立ち寄って席につくことができるそうだ。

 もちろんきちんとしつけができているペットに限られる条件付きであることは、言うまでもない。なんとおおらかでゆとりのある都市の表情であろうか。

 ほおをかすめる九月の風は、思いのほか心地良く、所々ライトアップされたこげ茶色の太い幹のケヤキの緑が美しく、いつの間にか私は、深く落ち着きながらこの都市に、酔っていた。いつまでも続けてほしいと思う一人である。(飯田修平)