沖塩屋の家
HOUSE ON OKISHIOYA HILLS 建設地/広島県
施工/ALF 担当:小田一倍 小田浩一    写真/大竹静市郎
design : 2005-2006 construction : 2006
これほどまでに、建て主が喜んでくれた家があっただろうか。これほどまでに、その喜びをストレートに表現してくれた建て主がいただろうか。わたくしは、この仕事との稀有なめぐりあいに、こころから感謝している。

 大野瀬戸を望むデッキから、足を投げ出しぶらぶらさせているのは、建て主夫婦と、偶然この場に居合わせたその家族及びその友人と、撮影を手伝ってくれていた若い現場カントクくんである。みんな、笑っている。建築において、作為的なデザインは意味を持たない。そこに流れる空気と、生活の場としての間の、心地よさこそが重要なのである。

 わたくしが、この建築において追い求めていたのは、普通の材料で、普通の工法で、普通なディテールを用い、いかに自然な形容を作り得るのか。ということである。(飯田修平)

デッキからの眺望 大野瀬戸を望む 世界遺産厳島西端と遠く湾曲して 対岸にコンビナート郡が見える
大野瀬戸を望む

父から娘へ繋がるファンタジー

敷地に立っては幾度となく、海をみつめていた。

夕方になると、漁を終えた漁舟が港に帰ってくる。静かな海に、そのどこか懐かしいエンジン音がここちよい。

やがて日が暮れると、遠く湾曲している対岸のコンビナート郡に灯りがともる。晴れた日は、ゆらゆらとゆらぎ、雨の日は霧にけむってかすんで見える。晴れて碧い海は美しく、雨にけむる鈍色の海も、深く落ち着いた気持ちになれてまた良い。

娘の父親は、この同じ海が見える山に家を建てた。娘は、その家で暮らし毎日この海を見て過ごした。やがて、娘は嫁ぎ自らの所帯を持った。そして、この地に家を建てた。

ある時、敷地に車ごと乗り入れてみた。そしてなにげなく、そのRV車の屋根にのぼってみた。そして、海を見た。それは、今まで何度も見た海なのに、その景色はまるで違って見えた。わずか1.4mの高さの違いによりこんなにも景色が変わるものかと驚嘆した。この家の床高が地盤より1.4m上がっている理由である。その分コストはかかるが、この場所に自然に住まうための自然な形容だと思っている。

ある朝、ふと娘は海を見て、父もまたこの同じ海を見ているのかなと、身支度のかたわら、チラッとそんなことを考えたりするのである…。(飯田修平)

南面                       左から浴室・ユーティリティー・キッチン・ダイニング・リビング・個室とまるで断面図のように見える
北面                       左手前の階段は、隣地
北西面                       庭木の隙間から大野瀬戸が見える
アプローチ                       
南東側                       
ダイニングテーブルからの眺め                       
リビングからダイニング キッチン方向を見る     右側はエントランスホール                       
個室                       
デッキ 床材はウエスタンレッドシダー       米杉と訳されるが、檜科の材料                       
キッチン 床に合わせて楢で造った         アイランドキッチンの手元は、フロストガラスを立てて隠している                       
白を基調としたユーティリティーとバスルーム                 
スタジオ                     壁・天井は吸音構造。さらに重低音に対応するため20cmのコンクリートで囲っている                                      
2007正月 クライアントと工事所長の小田さん photo:kugatunokaze
2006夏 デッキで寛ぐクライアント photo:kugatunokaze
スタジオでミニライブ 

日経アーキテクチュア(住宅特集号「オンリーワンの家造り」)の取材を受けるため集まってもらったバンド仲間と、自然にセッションが始まり、さながらミニライブのように盛り上がった。普段クライアントだけが演奏を楽しむだけでなく、このように仲間が集まりライブのリハーサルなどが行われる。 2007.2 photo:kugatunokaze

model photo:kugatunokaze
ファーストスケッチ この後、2階建て案そして、床高1.4m案へと変貌する。
宮島の花火大会を屋上から見物。2007.8 photo:kugatunokaze
沖塩屋の家が完成して2年になります。そんな中、居心地の良いTさん宅にまたまたおじゃましてしまいました。
わたくしをもてなすために、真剣にギョウザを包むTさん。窓越しに穏やかな瀬戸の海が見える。2008.3
                                       (photo:shyuhei/I)
ご夫婦で仲良く料理しているお二人。
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